社長挨拶
匠の技と魂で挑む「設計」
〔父から伝承された日本の匠の技〕 私の父は、風呂桶などをつくる木工職人でした。 1枚の板から、見事な製品がつぎつぎと生み出されていきます。 幼い頃の私にとって、父は、まるで神の手をもった魔法使いのようでした。 自ずと、カンナやのこぎり等に囲まれた父の仕事場を私は遊び場として、道具類を手に取って大工の真似事を始めると、次第に父が作業の手ほどきをしてくれるようになりました。 10歳になると図面を描いたり、耕運機の模型をつくったりしました。 新たにモノを創り出す楽しさ、嬉しさ、そして、父の納入先の笑顔が、少年期に至るまでの私の意識にダイレクトに刻み込まれ、設計の仕事に通じる道が形成されたようです。 当時の純白な思いはそのまま、今の私の根底を流れ続けています。 | |
〔進学と就職、そして挑戦〕 モノづくりへの興味は覚めることなく、工学および機械設計の基礎を学ぶため、工業系の大学を選択しました。 卒業後は産業機械メーカーに入社し、その7年後、大きなプロジェクトを任されました。 内容は、4000トンの圧力を生み出すプレス機の設計です。 完成後には、上下のフレーム部分のみでも、重量75トンになる超大型マシンのため、高出力時や連続負荷時の耐久性や作動性等、幾多の条件を満たすための厳密かつ高度な設計品質が求められるとともに、特殊輸送としての通行許可取得に至る周辺業務まで、一筋縄では言い表せないような課題の群れに立ち向かうことになりました。 私は、「逃げずに突き進もう」、「解決のための糸口は必ずある」と心に決めました。 必死に調べ、何度も折れそうになりながらも見方を変え、様々に思考していく・・・すると、不思議なことに解決へと導く"無限力"が天から降りてくるような感覚を覚えたのです。 さて、峻険なアルプスの峰々を見据えたナポレオンの言葉のとおり、仕事も人生も「山また山」です。 それでも、進んでいくのです。 数々の体験を通して、我が社のモットー『決して妥協しない。決してあきらめない』が生まれました。 こうして振り返りますと、私自身、無我夢中で走ってきたような気がしますが、困難を通してつかんだことがたくさん在ることに気付きました。 今では、「苦しみが私を救う」と思うに至りました。 なぜなら、挑んではじめて、高く大きく立体感を伴って得られる世界があり、その効用は、自分自身のみならず、周囲の方々やお客様の幸せにつながることが判ったためです。 | |
〔技と心、魂を込めたモノづくり〕 世界同時不況をキッカケとして、当社は独自製品の開発に着手しました。 当社に対するお客様のご依頼は、それぞれ個別な内容です。 他社から、「出来ない」、「無理」と断られた、使用していた外国製品のメンテナンスに困った、あるいは、新しい産業分野に対応するためのチューニングを施して欲しい等・・・どのご依頼にも共通するのは、高い応用力、創造性を求めてのご相談、ご来社であることです。 そこで、当社としては、傾聴の上、ご依頼内容に対して最善と考えられる解決策の提案をさせていただくわけですが、その手立てとして、基礎的・系統的な知識および原理原則に則ったロジックを用いて、お客様のご要望および現場における操作シーン等を念頭に検討を開始していきます。 その上で、経験を加味し、実現性、機能性、耐久性、安全性、操作性、経済性のバランスを考慮し、全社員および関係者一丸となった連携により、機能美を兼ね備えた最適設計へと洗練させていきます。 我々は常に学びつつ、懸命に挑み続けます。なぜなら、お客様と涙が出るほどの喜びや日々の感動を共有しながら、さらに、日本のモノづくりの底力を発信し続けていきたいのです。 |